冒頭の言葉は、マンションにおける格言です。
マンションを買うということは、「管理も買う」ということになります。
管理がしっかりしているというのは、清掃が行き届いているだけではありません。
マンションの寿命であったり、将来の資産価値に直結する適切なタイミングでの修繕工事も管理の良し悪しに含まれます。
また適切な修繕をしていくためには、健全な財源が必要になります。
財源が足りなくなれば、一時金の徴収や毎月の積立金の値上げをしなければいけません。
話がまとまらなければ、適切な修繕ができなくなり、寿命が短くなり資産価値も大きく毀損してしまいます。
「マンションは管理を見て買え」というのは、表面的なことだけでなく、表に見えない財務面までよく調査して買うようにという言葉なのです。

このグラフは国土交通省が５年毎に管理組合に向けて実施している「平成31年度マンション総合調査結果」によるものです。
毎月の修繕積立金は新築時から一定の「均等積立方式」と、段階的に値上げをしていく「段階増額積立方式」の２種類があります。
均等積立方式は、新築時に今後かかる修繕費用をあらかじめ計算し、途中で値上げの必要がないように最初から高めの一定の金額を徴収するもので、この方式であれば管理組合の財源リスクはかなり低くなります。
しかしグラフを見てもらうとわかるように、昔のマンションほど「均等積立方式」が多く採用されていますが、建築年が新しくなる毎に「段階増額積立方式」が増えていくことが分かります。
現在ニュースなどで報道されるような積立金不足の古いマンションは、ほとんどがこの「段階増額積立方式」と言われていて、今後は高リスクなマンションが確率的に大幅に増えていくことが予想されます。

次にこのグラフは、同じアンケート内で、管理組合に対して現在の積立金の状況が、将来の計画に対して過不足がどうなっているかを聞いたものです。
まず計画に対して大幅に不足しているマンションが全体の15％以上にも上ります。
さらに注目していただきたいのが、「不明」というマンションです。
これは足りるかどうかすらわかっていないマンションです。
実際に管理組合の調査をしていて、３割くらいは「買わない方がいい」と判断していますので、感覚と実際の数字で大きな差がないことが分かります。